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更新日:2022/2/4 M4 法医学−医師の法的義務★作成時点での情報・記事であり,最新の情報ではありません。 これは,医師法・民法・刑法上の義務とそれらの内容についてまとめたものです。 【参考文献】 現代の法医学(改訂第3番増補) ■項目
作成日 2001年 2月 15日 (木) 1.診療(応召)の義務診療に従事する医師は,診察・治療の求めがあった場合には,正当な事由がなければこれを拒むことはできない。 (医師法第19条第1項) ▼正当な事由とならない場合−昭和24年厚生省医務局長通達
▼医師が不在であるか,医師自身が病気などで事実上診療不可能な場合でない限り,診療を拒否することはできない。ただし,診察と治療は区別されており,診察した結果,自ら治療するか否かを決定すればよい。 ▼罰則規定はない。 2.診断書などの交付義務,無診治療などの禁止診察や検案をした医師または出産に立ち会った医師は,診断書や検案書,または出生証明書や死産証書の交付が求められたときには,正当な事由がなければ,これを拒否できない。(医師法第19条第2項) ▼正当な事由となる場合
▼罰則規定はない 医師は自ら診察や検案をしないで診断書や検案書を交付し,自ら出産に立ち会わないで出産証明書または死産証書を交付してはならない。(医師法第20条) ▼罰則規定はない 3.処方せん交付義務医師は,治療上薬剤を調製して投与する必要があると認めた場合には,患者または看護に当たっているものに対して処方せんを交付しなければならない。(医師法第21条) ▼罰則:1万円以下の罰金 ただし,患者などが交付を必要としない旨申し出た場合,および下記8項目に該当する場合は処方せんを交付しなくてもよい。(医師法第22条)
なお,医師は診察しないで処方せんを交付してならない。(医師法第20条) ▼罰則:1万円以下の罰金 4.診療録記載並びに保存の義務医師は,診療したときには,診療に関する事項を遅滞なく診療録に記載しなければならない。(医師法第24条) ▼罰則:1万円以下の罰金 診療録は,勤務医のした診療に関するものはその医療機関の管理者が,その他の診療に関するものはその医師において,5年間保存しなければならない。(医師法第24条) ▼罰則:1万円以下の罰金 5.薬剤の容器または被包に所定の事項を記載する義務交付する薬剤の容器または被包に,次の事項を明記しなければならない。(医師法施行規則第22条)
6.療養方法その他保健の向上に必要な事項の指導義務医師は,診療したとき本人またはその保護者に対して,療養方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。(医師法第23条) ▼罰則規定はない 7.説明の義務
8.各種届け出義務
9.守秘義務医師は,業務上知り得た他人の秘密を,その職にあるときはもちろん,その職を離れた後においても,故なく漏らしてはいけない。(刑法第134条) ▼罰則:告訴罪,6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金 10.善管注意義務委任を受けたものは,その委任の本旨に従って善良な管理者の注意義務をもって委任された事務を処理する義務を負う。(民法第644条) ▼医師は法律に明記されている義務以外に,医学知識・医療技術などの向上に努め,これらを駆使して最善の診療を行い,的確な判断を下す義務を負っている。 |
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